南北アメリカのネットワークサービスプロバイダーをサポートするための、エコシステム全体にわたるサプライチェーンレジリエンス戦略の構築

サプライチェーン
2022年第2四半期
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サプライチェーンのレジリエンス(グローバルなロジスティクス環境の劇的な変化に適応する能力)は、ネットワークサービスプロバイダー(NSP)がコネクテッドホーム利用者の期待に対応するための重要成功要因として浮上してきています。とりわけパンデミック以降、北半球人口の大部分が仕事、遊び、子供たちの教育家庭で行ようになり、NSPに対して顧客に一層の価値とイノベーションを提供することへの圧力が強まってきました。

 新しいサプライチェーン管理戦略により、複雑なグローバル環境の中でCPE(顧客構内設備)の流通をどのように最適化できるかについて、テクニカラー・コネクテッドホームの南北アメリカ地域担当プレジデントであるEric Rutterに話を聞きました。

Q:過去数年間の出来事は、南北アメリカ全体のNSPコミュニティのサプライチェーンレジリエンスにどのように影響しましたか?

Eric Rutter:

ここ数年の混乱により、NSPコミュニティは、テクノロジーパートナーやサプライチェーンパートナーとの関係が重要であることを再認識させられました。透明性、説明責任、敏捷性に根ざして、より深く洗練された関係を構築するということは、今後数か月から数年で不安定さを増していく激動の時代に、NSPが加入者に価値を提供し続ける上で大変重要です。

だからこそ、ベンダーマネジメントはパートナーマネジメントに進化してきましたし、それこそが、NSPをサポートする優良なエコシステムと、2020年代の残り期間に市場で苦戦するエコシステムとを区別するコンピテンシーだと思います。パートナーシップを育み、改善することが、これほど重要になった時期はかつてありません。これは、十分な情報に基づいた意思決定を推進し、それらの意思決定にバリューチェーン全体で即座に対応する能力を高めるための鍵といえます。そしてこれを実現するには、チーム全体として主要なビジネス目標の達成能力を最適化できるよう、NSPの計画プロセスの初期段階からパートナーを巻き込む必要があります。

現在、リーダー的存在のNSPにはまさにこれが見られます。過去の仮定を再検討し、現状を反映した新しい戦略を採用する意欲が見られるのです。たとえば、多くのキャリアは何十年もの間、リーンやジャストインタイムといったロジスティクス戦略を追求してきましたが、最近では、グローバルな生産の確実性が低い場合においても販売を促進できるよう、より多くの在庫を保持したり、リファービッシュを模索したりすることに前向きです。

これは、NSPリーダーがデバイスのコストだけに焦点を当てるのではなく、革新的なCPEとテクノロジーの市場投入に関連する総所有コストを評価するために、はるかに幅広く戦略的なアプローチを取っているという事実を反映しています。

総コストにはデバイスが含まれますが、そのデバイスのライフサイクル全体のサポートも含まれています。そのことを念頭に置いた上で、戦略的パートナーがどのような付加価値を追加できるのかを理解することが重要といえます。

南北アメリカの全地域を見た場合、NSPが地域経済の現状にどのように対応すべきかを認識することが不可欠です。CPEの展開戦略に関しては、そうした現状が加入者一人当たり売上高(ARPU)に多大な影響を及ぼします。北米とラテンアメリカ地域では、サプライチェーンの混乱に関連するコストを吸収する方法に大きな違いがあります。

これもまた、CPE供給の継続性を維持する能力に対して、マクロ経済的な(さらには地政学的な)出来事がどのように影響するかに応じて、即座に対応できるパートナーシップを発展させていくことの重要性を物語っています。固定的な資本予算で動いている地域では、新しいデバイスの量を減らし、リファービッシュの依存割合を大きく増やすという選択肢もあり得ます。これらはすべて、NSPエコシステム全体で最近よく聞かれる話なのです。

Q:それはどのように調達決定に取り込まれますか?

Eric Rutter革新的なCPEの市場投入に関しては、生産および調達戦略において最も強力でダイナミックな変化が見られてきました。新型コロナの流行前でさえも、この業界は重要な材料や部品の不足による供給ショックに何度も取り組んできたのです。

過去数年間、NSP経営幹部の考え方には、供給の継続性を維持するために多様化に焦点を合わせていくという、かなり劇的な変化が起こりました。

その結果、NSPは現在、サプライチェーンの壊滅的な破壊を回避するために、複数のSoC(システム・オン・チップ)プロバイダー、複数のOEM(相手先ブランド供給)パートナー、さらには複数の製造拠点まで模索しています。新型コロナウィルスのさまざまな変異株の発生によって頻発した工場や港の操業停止に対処するため、緊急時対応計画に投資しているNSPも見られます。

多様化には複雑さが伴います。余剰性と復元力のあるサプライチェーンを維持することで増大する複雑さを管理するためにも、明確なコミュニケーションと説明責任を特徴とする強力なパートナーシップを作り上げていくことが重要です。

テクニカラー・コネクテッドホームは、多様化のリーダーです。クラス最高のCPEを提供する専門知識と、エコシステム全体にわたる多種多様で強力なパートナーシップにより、非常にユニークな方法で、複雑なバリューチェーン全体においても、パートナーシップの機会を促進することができるのです。

Q:NSPは南北アメリカ全体でサプライチェーンのコラボレーションをどのように高めることができますか?

Eric Rutter

透明性が鍵となります。アジアのさまざまな地域について、パンデミック関連の操業停止の最新情報を可能な限り迅速かつ効率的に提供できるため、弊社とパートナーは計画に関する戦略的決定を下すことができます。

それに加えて、長期的な目標へのコミットメントを維持しながら、短期的な混乱を管理するための基礎にもなります。サステナビリティはその好例です。実際、パンデミック、部品不足、世界的な影響を伴う地域紛争といった多数の緊急事態に対して、NSPはいつでも対応していかなければなりません。このような事態は、気候や企業の社会的責任といった世界の主要課題に対処するために業界がとってきた戦略的イニシアチブを狂わせかねません。

日ごとに目まぐるしく変わる現実に照らして、エコデザインに関する積極的かつ直接的なコミュニケーションを取ることが重要なのです。テクニカラー・コネクテッドホームが先頃、EcoVadisのプラチナメダルを受賞した理由の1つがこれです。この権威ある賞は、世界で最も信頼されているビジネスサステナビリティ評価機関から、75,000社を超える企業の調査に基づいて与えられます。テクニカラー・コネクテッドホームは、環境に優しい製品の設計に積極的に取り組んでいるとして、対象企業の上位1%にランク付けされました。

テクニカラー・コネクテッドホームは、最近、二酸化炭素排出量への取り組みも発表しました。再生可能エネルギーの使用量を2026年までに大幅に増やし、使用比率を90%に引き上げることを目指しています。また、2030年までにデバイスの二酸化炭素排出量を30%削減していきます。

EcoVadisから高く評価されたことにより、重要なサステナビリティ目標を達成するために支援を求めていたサプライチェーンパートナーとも、関係を強化するチャンスを得ることができました。

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