Vantivaのスマートライン:製造プロセスに変革をもたらす

サプライチェーン
2022年第3四半期~第4四半期

顧客構内設備CPE製造部門のサプライチェーンの混乱は、2020年以降続いている外出自粛による労働問題とも合わせ、調達、物流、サプライチェーン業務の経営陣にとって、ゲートウェイ、セットトップボックス、その他のコネクテッドホーム機器に対するネットワークサービスプロバイダー(NSP)のニーズをどのようにしてタイムリーに満たすかを再考る機会になりました。2023年に向けて、市場は経済情勢を見通せず、状況ますます厳しくなってきています。

Jean-Francois Fleury - VANTIVA

ヴァンティーバはこのような潮流の中、過去数年にわたり、世界中のNSPへのCPE納入における摩擦を減らし、生産能力を効率的に活用できるよう、フレキシブルで適応力の高いグローバル製造オペレーションを構築してきました。ヴァンティーバの「スマートライン」製造イニシアチブの一環として実施された革新的な取り組み、この秋、米サプライマネジメント協会から公表彰されています。この革新的な取り組みについて、ヴァンティーバのグローバルオペレーション&サプライチェーン担当シニアVPであるJean-Francois Fleury(以下フルーリー)に話を聞きました。

以下にインタビューの内容をご紹介します。

Q: フルーリーさん、お時間をいただきありがとうございます。まず、ヴァンティーバは最近、あなたの指揮下でダイナミックかつフレキシブルな新しい製造プロセスを設計、開発、展開した事業で、ISMのイノベーション賞を受賞されましたね。そのプログラムについてお話しください。

フルーリー:ありがとうございます。その通りです。ヴァンティーバの「スマートライン」という製造の取り組みが、サプライマネジメント協会のサプライチェーン開拓者賞 (Supply Chain Trailblazer Award)でイノベーション部門を受賞したことは、非常に喜ばしいことです。

この賞は、ヴァンティーバとバリューチェーンパートナーの製造プロセスにおける革新的な実践事例の効果を、プロセス、イニシアチブ、コミットメント、インパクト、影響力、達成度など、さまざまな基準で評価するものです。サプライチェーンの状況にプラスの影響を与えたグローバル企業17社のうちの1社として、ISMから認めていただいたことを嬉しく思います。

ヴァンティーバのスマートラインの中心的なアイデアとなったのは、生産能力の「プール」を世界中の施設に作ることにより、市場の変化に迅速に対応したり、同じ段取りで複数の製品を製造したりできるということでした。まずは、アジアとラテンアメリカの設備で同様に段取りを行えるように、すべての製造パートナーに向けた戦略的および運用上のフレームワークの開発に着手しました。国際的なサプライチェーン環境の変化や市場の需要の変化に応じて、世界のある地域から別の地域へと生産能力をシフトする性能を確立するためのものです。

しかし、より柔軟な環境を作るだけでなく、スピードも実現したいと考えました。そこで、同じ製造ラインで1つの製品を別の製品に入れ替えるのに30分という目標を設定しました。そして、長年にわたる努力と製造パートナーとの協力の結果、その目標に到達することができました。

これは、これまでの業界の慣習を大きく覆すものです。スマートラインで生産される製品は、もはや特定の生産ラインに縛られることはありません。それどころか、特定の工場にすら縛られません。今や、国際規模で生産をダイナミックに管理し、グローバルな生産拠点全体で稼働率を最大化するために利用可能な生産能力を深く、ほぼリアルタイムで理解した上で、スケジュールを作成できるということです。

Q: 大変興味深いです。この取り組みはいつから始まったのですか?

フルーリー:数年前に最初の活動が始まりました。パートナー企業や社内関係者から、サプライチェーンオペレーション全体で経験している問題点や不満について、多くのフィードバックを求めました。

従来の製造ラインの効率化とコスト削減を目指し、製造プロセスの根本的な見直しに着手し、あらゆる前提条件や工程要素をゼロから見直しました。目標は、できるだけフレキシブルに対応できる製造能力を考案することでした。

そこで、すべての生産ラインに共通する要素を集約し、1つのラインで多くの機種や製品を稼働させられる新しい「生産ラインモデル」を構築しました。

これは大規模なプロジェクトでした。しかし、上層部と取締役会から支持を受けたため、スマートライン構想の研究開発段階から十分な資金を確保することができたのです。

開発段階を経て、厳選されたパートナー数社に、新しくリリースされたスマートライン製造プロセスを体験していただきました。このラインを稼働させると、成果はすぐに表れました。コストの削減、時間効率や業務効率の改善が見られるようになったのです。

実際、パートナー企業では、従来の製造ラインの3~4本を1本のスマートラインで置き換えられることがわかりました。つまり、当社の生産設備を導入すれば、30分程度である製品から別の製品へと製造内容を切り替えることで、需要に対応できるようになったのです。これまでの4〜5時間から大きく改善されたわけです。

Q: 現在、ヴァンティーバのスマートラインはどこの工場にあるのでしょうか?

フルーリー:現在、ベトナム、インドネシア、ブラジル、メキシコ、インドでスマートラインを導入しています。これらの地域のいずれかがサプライチェーンに支障をきたした場合、他の地域に製造をシフトしても、納期を守れるようになりました。

技術的な課題、地政学的な出来事、パンデミックなど、納期に影響を与える破壊的な出来事が後を絶たない今日、これは大変喜ばしいことです。

Q: 複数の顧客層に共通するプラットフォームのスマートラインを開発する上で、業界標準が役立っているのですか?

フルーリー:簡単に言えば、「イエス」です。でも、詳しく説明しましょう。スマートラインには、競争上の優位性に貢献する2つの要素があります。

まず、最もわかりやすいのは規模の経済性です。製品ごとに別々のラインを製造するのではなく、6〜7製品に対応する1つの製造ラインに投資すればよいため、当社のコスト競争力は格段に向上しています。このコスト効率は、製品自体のコストにプラスに作用します。

2つ目は、フレキシビリティの向上です。スマートラインは、世界中のどの施設からでも、必要なときに必要なだけ生産できるように設計されています。この2つの要素が相まって、現在のような競争の激しい環境において、お客様にとって重要な差別化要因としてスマートラインが浮上しています。

Q: それはなかなかすごいですね。ヴァンティーバでは、すべてのキープレーヤーの足並みをどのように揃えていますか?

フルーリー:この取り組みにバリューチェーンがどう反応したかは興味深いところです。ヴァンティーバが何を目指しているのかを、正確かつ積極的に伝えることに力を入れました。その結果、抵抗はほとんどありませんでした。むしろ、エコシステム全体の関係を強化することができました。スマートライン戦略により、製造パートナーとの間にある障害を取り除けることがわかったのです。

導入の過程で、各プレイヤーの役割と責任をより明確にすることができました。これにより、ヴァンティーバはまさに、サプライチェーンのマネージドサービスプロバイダーとなったのです。

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